オリジナル小説第五回目☆

「・・・何なの?」

透けている体を見ても、怖くなかった。

むしろ、どこか自分に似ていると思ってしまった。

「ねぇ・・・?」

『私はアヤメ。それしか覚えていない。』

「・・・いつから此処に?」

『ずっと前から。少なくともあなたが来る前から。』

「えっ・・・。」

嘘だろ?だって、ずっと一人だった。

どうなってるんだ?

『あなたに私が見えなかっただけ。今までは。』

「・・・今までは?」

『そう。私が見えるようになったの。・・・少なくとも私はずっと望んでいた。あなたが私を見てくれることを。』

どうなってるんだよ。意味わかんねぇ。

『ずっとあなたを見ていた。そのすさんだ瞳も心もね。』

「・・・なっ・・!」

オレに向かってふわりと微笑んだ彼女ーアヤメは、楽しそうだった。

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オリジナル小説第四回目☆

「・・・ん。」

気がつけば辺りはすっかり暗くなっていた。

そろそろ帰るか・・・、そう思ったときふと聞こえてきた声。

心地よく耳に響く高い音程

まるで誰かに優しく語りかけるように・・・

その声に導かれるように歩き出す。

声が聞こえる場所。

そこは、鍵がかかっていて入れない・・・はずだった。

ドアノブを回せば扉は音もなく開いた。

「・・・だれ?」

ピタリとやむ声。

月明かりの下にはオレとそう年はかわらないであろう少女がいた。

けれど、その体は透けていた。

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オリジナル小説第三回目☆

放課後早々と帰ろうとしたオレに杉乃が駆け寄ってきた。

「・・・今度は何?」

「一緒に帰らない?同じ方向だし・・・。」

「オレ、急いでるから。」

そう言い、まだ何か言っている杉乃をおいてあの場所に向かった。

あの場所は小さい頃から1人になりたい時によく行くところだった。もちろん昴も知らない。

あの場所に近づくにつれ胸が高鳴る。誰もいない、自分1人だけの場所・・・。

着いた場所、そこは古びた小さな家。昔は誰か住んでいたらしいが今は誰もいない。

けど、今日はなんだか変な気がする。・・・気のせいか。

少し埃っぽいソファに寝ころがり、目を瞑る。

・・・今日もつまらない一日だった。

今日の事を思い出しながらオレは眠りについた。

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オリジナル小説第二回目☆

「何か用?」

ドアの前に立っている少女は顔を真っ赤にしながらオレに手紙を差し出してきた。

(またか・・・)

今週に入って5回目の手紙(ラブレター)。

「・・・悪いけど、オレそういうの受け取らない事にしてるんだ。だから・・・ごめん。」

「・・・!!そ、そうですか。・・・ごめんなさい。」

少女は今にも泣き出しそうな顔で走っていってしまった。

「あ~あ、ひどいヤツ。確実に泣くぞあの子。」

「昴、お前なー・・・仕方ないだろ・・・?オレ『好き』っていう気持ちよく分からないんだから。こうするしかないんだよ・・・。」

「はいはい。」

そう言って昴はオレの頭を叩いてきた。

「やめろよ。」

「いいじゃねーか。」

昴は、小学校の頃からの友達。けど、いつの間にかオレ達の間には大きな壁ができてしまったような気がする。きっとオレが無意識のうちに作ってしまったんだ。昴は鈍感だから気にしてないみたいだけど。

(でも小学校の頃の方が楽しかったよな・・・。)

その時授業が始まるチャイムが鳴りオレ達は席に着いた。

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オリジナル小説第一回目☆

 CLEAR

君がいなくなるなんて思っていなかった。

いなくなってから気づくなんて・・・。

知りたくなかった。

この気持ちが恋だったなんて・・・。

『なぁ、昨日のTV見たか?』

『おぉ、見た!見た!すっげーよなっ』

くだらない会話。

「はぁ・・・。」

黒髪の少年は無意識にため息をついた。

(つまらない。)

「何ため息なんかついてんの?零?」

「杉乃・・・。なんか用?」

「私じゃなくて・・・。」

杉乃の見た方向の先を見ると一人の少女がドアの前に立っていた。

「で?何?」

「だから!あの子があんたを呼んでって・・・。」

「あぁ、そう・・・。ありがと。」

杉乃は何か言いたそうな顔をしていたがオレは見てないフリをした。

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